日食グラス ― 日食を観測するために
日食といっても、太陽ですから、直接、目で見てはいけません。それは、小学生でも知っていると思います。
黒い下敷きや、真っ黒に感光したフィルム越しであれば太陽を見てもよい、という意見がありますが、実際にはどうなのでしょうか。
まぶしくない=目によい・・・ではない
46年前の皆既日食のときには、団塊の世代と呼ばれる世代を中心に、多くの人が黒い下敷きや、ガラスにすすを付けたものを使って日食を観測したものです。
しかし、これは非常に危険な行為なんです。
というのも、太陽を見ると目が悪くなる、あるいは失明するというのは、単純に光が強すぎてまぶしいから、というわけではないからです。
黒い下敷きを使うと、確かに目に入る光量が減ってまぶしさはなくなりますが、紫外線の多くは遮られずに目に届いてしまいます。これがボディブローのようにジワジワときいてきて、そのときは問題なくても、後々の白内障などの原因になるとも言われています。
日食グラスで日食を見よう
日食を見るためのメガネ、それが日食グラスです。 日食グラスの実物を見ると分かりますが、とにかく光の遮り具合が半端ではありません。
黒い下敷きを目の前に置いても、周りの景色は薄暗く見えますが、日食グラスを目の前に置くと、何も見えなくなります。ただの黒い板なんじゃ・・・と思ってしまいますが、それでも太陽を直接見ると、太陽のかたちははっきりと分かるんですね。
逆に言えば、それぐらいの能力がないと、長時間の太陽観測はできないということなんです。